ヤフーというと先日、ZOZOを買収しましたが、今度はLINEとの経営統合という話が報道されています、
しかし、LINE株式会社の方は、日本経済新聞社等が発表しているだけで正式に決まった内容ではないということです。
以下はLINE側の説明になります。
当社に関する一部報道について 2019年11月14日
昨夜より、日本経済新聞等において、当社とZホールディングス株式会社との経営統合に関する報道がありましたが、当社が発表したものではございません。企業価値向上のための施策の一つとして検討を進めていることは事実ですが、当該報道内容に関して当社として決定している事実はございません。
今後開示すべき事実を決定した場合は、速やかに開示いたします。
【引用元】
ということで、経営統合が決定したわけではなく、まだ検討段階ということです。
しかし、せっかくなので、2社の現状について調べてみました。
ヤフー株式会社は、Zホールディングス株式会社というソフトバンクグループの持ち株会社の子会社になります。
Zホールディングスには以下のような子会社があります。
アスクル株式会社
株式会社一休
株式会社GYAO
PayPay株式会社
ヤフー株式会社
株式会社ZOZO※一部のみ抜粋
【参照】
僕が最近、「まだ結婚できない男」で紹介しているGYAOもソフトバンクグループだったということですね。
PayPayという聞いたことがない会社がいきなり、100億円キャンペーンを実施できたのもソフトバンクグループだったからです。
ヤフーというと、アメリカのYahoo!と日本のソフトバンクが共同で立ち上げた会社です。そして、Yahooという名前の意味は、以下のように書かれています。
Yahoo!の二人の開発者は、自らをならず者(yahoo)だと思っているからこの名前を選んだということです。
【参照元】
インターネットが普及し始めた頃の日本での検索サービスというと、Yahoo! Japanでした。
その頃、読み方がわからずに、ヤッホーと呼んでいたことを思い出しま(笑)Googleが登場するまでは、Yahoo検索が当たり前でした。関係のないサイトが検索結果に多く表示され目的の情報を得るまでに苦労しました。それがGoogleの登場で衝撃を受けます。
Googleという文字だけが表示されたシンプルなトップページ。
検索ワードを入力すると、入力した検索ワードに関係のある結果だけが適切に表示されるのです。今では、それが当たり前ですが、Yahoo検索の時代は、そんな検索サービスは存在しませんでした。以後、検索サービスといえばGoogleとなりました。
そのような事情もあり、Yahoo!(米国)は2017年に買収されOathに移管されました。
その際に、買収されなかったYahoo!の残りの部門が所有していたヤフージャパンの株が全て売却され、Yahooとヤフージャパンの資本関係もなくなりました。
検索サービスは、Googleに奪われ、2011年からは、ヤフーの検索エンジンはGoogleを使用しています。そしてオークションというとヤフオク(ヤフーオークション)でしたが、こちらもメルカリの登場で影が薄くなった感があります。
ヤフーは、孫さんの考え方が浸透しているため、新規に何かを作るより技術を持っている企業を買収して手を加えて自社のものにしていくスタイルだと思います。このため、新しく何かを作りたいという人には物足りない会社なので次の転職先を決めるまで一時的に在籍している会社という感じの方が少なくないはずです。
このため、ヤフーからLINEに転職する人も多いようです。
ヤフーでは、もの足りないからLINEに転職したのに、今回の経営統合の話が実現してしまうと、またヤフーに戻るようなものです。ヤフーからの転職組は実現しないで欲しいと願っているはずです。
ヤフーとしては、このままでは、いけないと感じているにも関わらず、相変わらず、資金力にものを言わせてECサイトの強化でZOZOを買収し、次は、コミュニケーションアプリのLINEに目を付けたということです。
ヤフーはLINEより前に韓国のメッセンジャーアプリシェア1位のKAKAOとの合弁会社、カカオジャパンを立ち上げていますが、結果は後発のLINEに差をつけられ2014年には資本撤退を発表しています。KAKAOがダメならLINEって節操のなさを感じます。
ソフトバンクグループというのは投資会社と考えた方が良さそうですね。
そう考えると、資金力はあるのかもしれませんが、なんだか薄っぺらい会社なんだなと思えてきました。
決算状況ですがソフトバンクグループとして公開されていますが、テレビ報道でもあったように、7,000億円の赤字だということですね。ここまではヤフー側の事情であり、LINE側はどうなのでしょうか?
LINEは日本では利用者が8000万人を超えるナンバー1のアプリだと思います。
しかし、世界に目を向けると、2014年にFacebookが買収した、WhatsApp Messengerです。こちらは、10億人越えの利用者がいます。
日本でナンバー1であれば問題ないのでは?と思うかもしれませんが、ガラ携が日本で主流だった時に、iPhoneの登場で、あっという間にガラ携が淘汰されてしまったことを考えると、LINEも今のままで安泰だとは言い切れません。
実際、LINEは欧米に進出しようとしていますが苦戦を強いられている状況です。
以下の比較表は2013年時点のもので古いのですが、WhatsApp Messengerが多くの国でシェアナンバー1となっています。(機能は2019年11月現在のものです)
やはり自国の会社が開発したものは、自国でシェアが高くなっていますね。
LINEは欧米での知名度が不足しているということもあるのでしょう。
そして、LINEが日本、WeChatが中国、KAKAOが韓国にそれぞれ合っているように、WhatsApp Messengerは、欧米に合っているということかと思います。
LINEの2019年度第三四半期連結決算を見ると、営業利益は、約270億円の赤字。その要因は以下の通りです。
- LINEモバイルの支配損失のよる利益が今期は発生していないため
- 売上収益の増加による決済手数料及びライセンス料が増加
- 従業員増による報酬が増加
- マーケティング(Fintech等)費用の増加
- Fintechの開発のための外注費増加
- 減価償却費及び償却費の増加
- LINEポイント広告に関連する営業費用等の増加
【参照元】
LINEアプリ以外に手を広げようとしていることで費用が増大しているように感じます。これは、逆に考えるとLINEアプリだけでは経営が成り立たなくなるということなのかもしれません。
LINE側も検討中ということは、それなりの事情があるということでしょう。
そうでなければ検討しようとは思わないはずです。
ヤフーとLINEが経営統合することで一番気になるのは、PayPayとLINE Payです。
ソフトバンクとすると、お金でLINEの技術を手に入れ、LINEとすれば、世界シェアを伸ばすためには知名度をあげないといけないので、更なる投資が必要になります。しかしその投資が直ぐに効果を上げられるとは思えないので、資金力のあるソフトバンクグループと手を組むことで、金銭面での体力が確保できます。
双方の思いは違っていることから、経営統合を行っても、ソフトバンクグループはKAKAOの時と同じように直ぐに結果がでなければ撤退する可能性がありますので、LINE側の思惑は外れると思います。
そう考えると、LINE側の立場であれば、経営統合の話には乗らない方が良いのではないかと思います。