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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

テレビの視聴率について考えてみましょう。

テレビ番組というと視聴率がついてまわります。
これは、テレビ局が基本的には番組内外で放送する広告収入で運営されているので広告を出す側とすれば、より多くの人に見てもらえるテレビ局や番組で広告を放送してもらいたいので、どれだけの方が見てくれている番組なのかを知るには視聴率というのは必要不可欠ということになります。

そしてテレビの視聴率調査と言えば今は、ビデオリサーチ社ですが、昔は、もう一社、ニールセン社という会社もテレビの視聴率調査を行っていました。ニールセンは2000年に民放キー局と視聴率調査方法で対立が生じテレビ局との契約が解除されたことで撤退となりました。

ニールセンというのは米国の会社なので、海外の会社に日本のテレビの視聴率を調査させることに不安があったという背景もあるのではないかと思います。

 

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そんなテレビの視聴率ですが、どのように調査しているのでしょうか?

ビデオリサーチ社のホームページに視聴率調査に関することが記載されています。

www.videor.co.jp

 

都道府県で調べているわけではなく、27の地域だけです。
1つの地区で900~200というサンプル数なので意外と少ない感じです。
このため、視聴率調査を依頼される確率というのは極めて低いということですね。
少ないサンプルで極力正確に調査しようとすると調査地域の世帯構成の縮図となるように世帯を選ぶ必要があります。

現在、日本は人口の変化はあまりありませんが、世帯数は増えています。
これは、1世帯当たりの家族の人数が減っているためで、一人暮らし、夫婦だけの世帯が増えてきたことによるものです。

そして少子高齢化により世帯内の年齢も高くなっていく傾向にあります。
このため、どうしても、視聴率の高い番組=高齢の方が見ている番組になってしまいます。

仮に以下のような年齢構成の地区があるとしましょう。

50歳以上:50%

35歳~49歳:25%

20歳~34歳:15%

19歳以下:10%

視聴率調査は、上記の比率で行われます。
極端な例になりますが、50歳以上の30%が見たテレビ番組があったとします。
そうすると、50歳の方だけで15%の視聴率になります。
では、同じように19歳以下の30%が見たテレビ番組があったとします。
同じ比率ですが、19歳以下の方は少ないため、3%の視聴率になってしまいます。
以下の動画は、そのような問題定義に始まり、2016年10月より視聴率を変えていくという話が展開されています。

fod.fujitv.co.jp

 

昔は人気ドラマの視聴率というと30%声が当たり前でした。しかし、今は20%越えで人気ドラマ、10%代で普通、1桁まで落ちると危機状態といった感じです。これは見ている世代が仮に同じで同じ比率で見ていたとしても、年代比率が変わってしまったために視聴率が下がったように見えてしまっているだけかもしれません。
2016年9月までの視聴率調査だと人口比率の高い年齢層の視聴状態に視聴率が左右される状態だということです。

これが2016年10月から以下のように変わりました。

  1. 調査サンプル数を600→900世帯へ(関東地区)
  2. タイムシフト視聴率の導入
    →新概念 総合視聴率

調査サンプル数を増やすというのは、現在は、全ての世帯の視聴状態を調査できないことから統計学的にサンプル数から全体を推測するという手法を使用しているためです。サンプル数は当然、多ければ多いほど精度があがります。

選挙の出口調査による開票前に開票結果を予測する仕組みがありますが、これは、有権者数が約1億人、投票率が50%としたときの投票の母集団は5000万人です。その際に、出口調査では20万人程度の有効回答数があるそうなので20万人で5,000万人の推測をしていることになります。これだけの数があれば、開票前に当選確実の案内が出せます。
しかし、2016年9月までは関東の調査世帯数は600でした。


600世帯で関東全体の視聴率を推測しようというのですから、誤差はかなり大きくなります。600世帯で視聴率が10%だった場合サンプル誤差は2.4%です。それを900にするとサンプル誤差は、±2%です。多少精度はあがるものの、それでも±2%の誤差があるのです。そしてそれは95%の確率での話です。つまり、95%の確率で、視聴率は8%~12%の範囲に収まるということです。

10%の視聴率で±2%の誤差があるのですから、全数調査を行うと、8%と12%の視聴率は実は同じだったという可能性もあるわけです。テレビ業界は8%だとがっかり、12%なら大喜びしたりしているかもしれませんが、誤差を考えると、どちらも同じかもしれませんし、逆転している可能性さえあるのです。

次にタイムシフトというのは、録画装置でテレビ番組を録画して再生した場合も視聴率としてカウントしようというものです。(自宅で録画してから7日間以内に再生されたものが対象)タイムシフトでテレビ番組を見る方が増えてきたことが背景にあります。

そして総合視聴率というのは、これまでの視聴率とタイムシフト視聴率を合算したものです。
例えば、それぞれ以下のような視聴率だったとします。

視聴率=10%

タイムシフト視聴率=5%

この場合の総合視聴率は14.2%になります。
普通に考えれば、10%と5%なので15%になりそうなものですが、実際には、リアルタイムに視聴された方が、タイムシフトでも視聴する場合があるため重複視聴が生じます。このため、重複視聴部を指し引いた分が総合視聴率になります。
このため、以下のような計算式になります。

総合視聴率=(視聴率+タイムシフト視聴率)-重複視聴率

視聴率だけであればリアルタイムに見ているので集計は翌日にも出せるかと思います。しかしタイムシフト視聴率は、7日間以内に再生された分がカウントされることから7日間待たないと集計ができません。このため、これまでは翌日や2日後に発表できていましたが、タイムシフト視聴率と総合視聴率については、7日後以降でないと集計できないことになります。タイムシフト視聴率が高くなる傾向にあるのは、ドラマ、アニメ、映画といった、じっくりと見たいものだということです。そして男性より女性、若い方より年齢の高い方の方がタイムシフト視聴が多い傾向にあるようです。
ただ、タイムシフト視聴率が加わることで、人口比率の低い若年層の視聴が反映されやすくなるようには思います。

更に問題があります。

今は録画したものを自宅以外で見る方法もありますし、それ以外にも、インターネット上のオンデマンドサービスを利用して視聴する方法もあります。そしてインターネット上のサービスなので国内だけではなく、海外のサービスもあります。
そして5G回線が普及していけば、車の中やその他の端末で視聴できるようにもなっていくはずです。

僕も最近は、オンデマンドサービスを利用してドラマや映画を見ることが増えています。

このような状況で家庭に設置してあるテレビだけを調査対象にしていたのでは正確な数字が把握できなくなっています。
ようやく、録画機器に対応できたような状態なので視聴率調査が追従できていないのは、明白です。

しかし、テレビCMの視聴状態に絞り視聴率を調査するということであれば、現在の視聴率とタイムシフト視聴率に加えて、外でのテレビ視聴を追加すれば済むはずです。しかも外での視聴が少ないのであれば、除外できます。

これからは、視聴率は広告を出す側用と見る側に分けて集計していく必要がありそうです。

 

テレビ局の報道局が舞台のドラマ、「美女か野獣」です。
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