seegeのまとめサイト

もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

饗宴の儀 総料理長 高橋 慶太氏

饗宴の儀は、天皇陛下の御即位を披露され、祝福を受けられるための饗宴です。

そこで振る舞われた料理がどのようなものだったのか気になりますよね。

f:id:seege:20191023200732p:plain

料理を担当されたのは、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町総料理長高橋慶太氏です。ギャラリーと聞くと美術品の展示スペースのような印象を受けますが、豊かな自然とアートを感じさせるデザイン、そして先進の機能が高度に融合されたホテルだということです。

和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたという背景から、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町のメインダイニングは和食「WASHOKU蒼天 SOUTEN」です。
そしてメインのターゲットは外国人客です。
このため和食なのに、店内は和をイメージした洋という感じです。

ソースが跳ねたりしてドレスを汚さないようにソースは使わないとか、今回、規模の大きい祝宴となるので、フランス料理のように料理毎にテーブルにお持ちしたり全員に温かい状態で提供することが困難ことから、コンパクトに提供できる和食が選ばれたようです。

そして、普段から和食を外国人客向けにして提供しているということから高橋氏が選ばれたのではないかと思います。

和食を提供するメインダイニング。旬の素材の鮮度を閉じ込めてお届けするイメージを込めた「アイスコンセプト」をテーマに、クリスタル調のインテリアなどで店内を演出します。ダイニングエリアのほか、日本酒を楽しめるSAKEバーや鉄板焼カウンターと寿司カウンター、個室を備え、お客さまのスタイルに合わせてご利用いただけます。

  • 夜懐石 蒼 煌 ¥26,500
  • 夜懐石 蒼 天 ¥21,000
  • 夜懐石 銀 彩 ¥16,000

www.princehotels.co.jp

 高橋氏の経歴は以下の通りです。

1982年

  • プリンスホテル入社、東京プリンスホテルの仕込・宴会調理に配属。その後、フレンチレストラン「ボーセ・ジュール」、グリルキッチンなどを経験する。

2007年

  • ザ・プリンス パークタワー東京の開業プロジェクトを担当、その後宴会料理長へ。

2012年

2016年

【引用元】

プリンスホテル系で長年経験を積まれたということですね。

他には出身地は千葉県では?という情報程度しか見つからず、年齢等は不明です。

 

以下は、饗宴の儀(2019年10月22日)で振る舞われたものと、WASHOKU蒼天 SOUTENで提供されているものを比較したものです。

f:id:seege:20191025193349p:plain

全く違っています。
饗宴の儀では、「造り」「煮物」「天婦羅」がありません。
代わりに何故かデザートがフルーツと菓子の二回に分かれています。

もしも、どちらかを選べと言われたら、正直、どちらにしようか迷います。
単純にメニューの比較だけであれば、迷わず、夜懐石 蒼煌(SOARA)を選びますが、

饗宴の儀で提供されたメニューは、おそらく二度と作られることはないように思います。そう考えると、貴重性なら迷わず饗宴の儀のメニューです。

農林水産省が発行している和食の紹介リーフレットには以下のように書かれてあります。

  1. 多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用
  2. バランスがよく健康な食生活
  3. 自然の美しさの表現
  4. 年中行事との関わり

これらを踏まえてユネスコに和食を登録申請した時には、和食は、

  • 「自然の尊重」という日本人の精神を体現した食に関する「社会的慣習」

として提案しています。
日本では、俳句で必ず「季語」が必要なように食事でも「旬の食材」が季語の役割を果たしているのだと思います。

俳句というのは、17文字で見たもの感じたものを表現します。

たった17文字で自分が見たもの、感じたものを表現し伝えるというのはとても難しいのですが、季語があるだけで、その時の季節や情景が共感できます。それは絵画の背景のようです。背景がしっかりと共有できれば、かなり伝わり易くなります。

和食も同じだと思うんですね。
旬の食材で季節を感じて頂き、料理人の想いを伝える。それが和食だと思います。
今回は、日本人だけではなく外国人の方も含まれます。
そして色々な文化の方がいらっしゃいます。
そんな時でも、食材と素材を活用する和食なら美味しく食べて頂けるはずです。

そして、以下に改めて、饗宴の儀の「おしながき」を記載します。

 

前 菜

  • かすご鯛姿焼き、海老鉄扇(えびてっせん)、鮑塩蒸し、百合根、鴨錦焼、黄柚子釜(きゆずがま)、篠鮟肝(しのあんきも)、栗、胡瓜

酢の物

  • 魚介酢漬(スモークサーモン、帆立貝、鮃(ひらめ)、公魚(わかさぎ)

焼 物

  • 牛肉アスパラガス巻、ブロッコリー、生椎茸、小玉葱(たまねぎ)、小トマト

温 物

  • 茶碗蒸(鱶鰭(ふかひれ)、舞茸、三つ葉

揚げ物

  • 三色揚(蟹、鱚(きす)、若鶏)、紅葉麩、慈姑(くわい)、銀杏、松葉そば

加薬飯

  • 鯛曽保呂(たいそぼろ)、筍、椎茸、干瓢(かんぴょう)、錦糸玉子、紅生姜

吸い物

  • 伊勢海老葛打、松茸、つる菜

果 物

菓 子

  • 和菓子

色々な文化の国の方にお越し頂いているので、メニューは1種類では対応できないため、以下のように選択できるようにしたそうです。

実際には、魚介や肉の代わりに野菜や高野豆腐、湯葉などを使った「菜食主義」メニューや、イスラム教の流儀に則して処理した「ハラルミート」と呼ばれる肉を使用したメニューも選べるようにしたようです。

更に、箸のほかにスプーンやフォークも置かれ、日本食に不慣れな外国賓客も食べやすいように配慮。日本酒のほか白、赤ワイン、フレッシュオレンジジュースなども用意した。宮内庁の担当者は「日本の山海の食材を使い、外国の方にも食べやすいよう工夫を凝らしたと話した。

参照元

 

日本を代表する和食の料理人となった、高橋慶太氏の料理、一度、食べてみたいものですね。

今回、陛下の意向から平成の饗宴の儀で振る舞われた、「牛肉アスパラガス巻」を今回もお願いしたいということから、高橋氏が、平成の饗宴の儀の総料理長だった井上静男氏に電話で連絡があったそうです。(2019年6月)井上静男氏もプリンスホテル総料理長だった方です。「牛肉アスパラガス巻き」は井上さんが29年前の饗宴の儀の際に、考案したものということから高橋氏が井上氏にレシピ等を確認したものです。

一口で食べられるようにということで肉の厚さ長さ、アスパラガスの長さまでミリ単位まで決めたそうです。神戸牛のロースを使ったそうですが、焼いた後にカットすると端が黒くなるのでそれは全部取ります。それらを考慮して肉を切り指定されたサイズに仕上げるそうです。

以下でレシピも公開されていますので自宅で再現したいという方は参考にしてください。

www.fnn.jp

 平成の饗宴の儀では以下のような点を心がけたということです。

  • 色鮮やかな料理にすることにより海や森などの日本の自然を演出
  • なるべく白い器を使用し料理を引き立たせる
  • 鯛は必ず使う(縁起物で使われる鯛は必ずメニューに入れると指示があった)
  • 料理は外国人の人でも食べやすいように一口サイズにする(宮内庁より)
    牛肉のアスパラガス巻は長さ5㎝、フルーツの直径は1.5㎝にくり抜く
    (フルーツはメロン、パパイヤ、イチゴ)

フルーツをホテルでくり抜いて持っていくと特にメロンはジュースがこぼれてくるので宮内庁に何百個というフルーツを持って宮内庁内でくり抜いていたそうです。

あと、夜9時という時間帯で来賓の方達もお腹が空いていたはずですが、料理の分量は少なめにされたそうです。これは、出された料理を残してしまうとシェフたちがショックを受けてしまうのでは?という上皇様の思いが陛下に引き継がれていたのでは?ということです。また小食の方でも残さないで食べられる量という配慮もあったのかもしれません。

平成の饗宴の儀の際は、メニューが決定するまで、味付けや火の入れ具合、料理の大きさの確認のため宮内庁がチェックするために試食会を3回行っていたそうです。

知らないところで料理に関わった方達にはご苦労があったのですね。

 

以下は、番組内で参照された本になります。

宮中 季節のお料理

宮中 季節のお料理