ラグビー ワールドカップで優勝経験がない日本が、強豪の南アフリカと戦い、34-32で歴史的勝利を挙げたのは、約4年前の2015年9月20日(日本時間)です。
そして、五郎丸ポーズが話題になりましたね。
あの歴史的勝利から4年後の9月20日(金)より日本でラグビーワールドカップが開催されます。
ワールドカップ開催については以下の記事を参照願います。
この歴史的勝利は、2015年のラグビーワールドカップが、イングランド・ブライトンで開催されたことから「ブライトンの奇跡」と呼ばれています。
2015年大会で2度の優勝を誇る南アフリカ代表を倒した試合は、ラグビーワールドカップ史上最大の番狂わせと言われました。その後スコットランド代表には敗れたものの、3勝1敗の好成績を残しプール戦敗退。3勝して決勝トーナメントに進めなかった史上初のチームとなりました。
2015年ラグビー・ワールドカップ(W杯)初戦に臨んだ日本は19日、1次リーグB組で南アフリカを34-32で破る大金星を挙げた。日本は29-32で迎えた後半ロスタイムにカーン・ヘスケスが劇的な逆転トライを決め、W杯過去2度優勝を誇る強豪を倒した。W杯での日本の勝利は24年ぶり。
史上初となった両チームの対決で、日本は終始果敢なプレーを続けた。序盤は強豪に攻め込まれても的確な防御でボールを奪取。前半8分にはFB五郎丸歩がPGを決めて3-0とリードした。序盤にミスが出た南アフリカも世界ランキング3位の地力を発揮し始め、18分にはラインアウトからフランカーのフランソワ・ロウが持ち込んでトライ(ゴール)を挙げた。だが、この日の日本はリードされても引き下がらなかった。同25分すぎには強烈なモールで前進。主将のフランカー、リーチ・マイケルが30分にトライ(ゴール)を決め、10-7と逆転した。
しかし、日本のリードは長く続かなかった。南アフリカは1本目のトライと同様、ラインアウトから強烈なモールで押し込み、最後はプロップのビスマルク・デュプレシーがトライを決めた。日本は10-12とリードされて前半を終了。
南アフリカは後半4分にルードベイク・デヤーヘル、同22分にもアドリアン・ストラウスがいずれも日本の防御ラインを破ってトライを決めた。しかし、日本は五郎丸が4本のPGを決めて、引き離されない。同29分にはバックスが鮮やかにパスをつなぎ、最後は五郎丸がトライ(ゴール)して、29-29の同点に追いついた。
終盤も南アフリカのPGでリードを許したが、日本は最後まで勝利への意欲を失わなかった。後半ロスタイムには相手ゴールライン近くで何度もPGの機会を得たが、同点のゴールは狙わず勝ち越し点を狙ってスクラムを選択。最後はヘスケスがゴール左隅に飛び込み、劇的な金星を挙げた。
【参照元】
ラグビーの国際チームには愛称がつけられます。
有名なのは、ニュージーランド代表の、オールブラックスですね。
他にも以下のような愛称があります。
- オーストラリア代表「ワラビーズ」
- 南アフリカ代表「スプリングボクス」
- ウェールズ代表「レッドドラゴンズ」
- イングランド代表「レッドローズ」
- フランス代表「レ・ブルー」
- イタリア代表「アズーリ」
- ジョージア代表「レロス」
- アルゼンチン代表「ロス・プーマス」
- アメリカ代表「イーグルス」
- カナダ代表「メイプル・リーフス」
- ウルグアイ代表「ロス・テロス」
- フィジー代表「フライング・フィジアンズ」
- サモア代表「マヌ・サモア」
- トンガ代表「イカレ・タヒ」
- ロシア代表「ベアーズ」
- ナミビア代表「ウェルウィッチアス」
【参照元】
日本にも「ブレイブ・ブロッサムズ」という愛称がつけられています。
日本語に訳すと「勇敢なる桜の戦士たち」という意味です。
元々は、日本のユニフォームのエンブレムが「桜」だったので、チェリーブロッサムという愛称でした。
それが、2003年のワールドカップで、弱小チームだった日本が強豪スコットランドに対して勇猛果敢なタックルを続けました。試合には負けましたが、強豪に対してタックルを繰り返したことから地元紙でブレイブ・ブロッサムと名付けられたそうです。
さて、ブライトンの奇跡から4年経った現在の日本代表はどうなったのでしょうか?
2019年9月6日(金)にリポビタンDチャレンジカップ2019で南アフリカと対戦し7対41で負けています。
しかし、他の3戦については、全て勝っています。
そして格上のフィジーにも勝っているのです。
今回のメンバーですが以下の通りです。
31名中、9名(赤文字)が2015年にも代表に選ばれている方になります。
4年間で、五郎丸さんは代表から外れてしまったのですね。
現在も現役で活躍されているようですが、33歳という年齢もあり日本代表には選ばれていないということですね。
■フォワード(FW)
- プロップ(PR)
稲垣 啓太 Inagaki Keita
木津 悠輔 Kizu Yusuke
具 智元 Koo Jiwon
中島 イシレリ Nakajima Isileli
ヴァル アサエリ愛 Asaeli Ai Valu- フッカー(HO)
北出 卓也 Kitade Takuya
坂手 淳史 Sakate Atsushi
堀江 翔太 Horie Shota
- ロック(LO)
トンプソン ルーク Luke Thompson
ヴィンピー・ファンデルヴァルト Wimpie Van Der Walt
ヘル ウヴェ Uwe Helu
ジェームス・ムーア James Moore- フランカー(FL)
ツイ ヘンドリック Hendrik Tui
徳永 祥尭 Tokunaga Yoshitaka
リーチ マイケル Michael Leitch
ピーター・ラブスカフニ Pieter Labuschagne■バックス(BK)
- ウィング(WTB)
福岡 堅樹 Fukuoka Kenki
アタアタ・モエアキオラ Ataata Moeakiola
レメキ ロマノ ラヴァ Lomano Lava Lemeki
- センター(CTB)
ウィリアム・トゥポウ William Tupou
中村 亮土 Nakamura Ryoto
ラファエレ ティモシー Timothy Lafaele
- フルバック(FB)/ウィング
松島 幸太朗 Matsushima Kotaro■フルバック(FB)
山中 亮平 Yamanaka Ryohei
あと、ヘッドコーチがエディー・ジョーンズから、ジェイミー・ジョセフに変わっています。
エディー・ジョーンズは、負けて当たり前だと言われていた南アフリカに勝った時の立役者です。
日本代表は、ワールドカップに20年間出場していましたが、1勝しかできていませんでした。そんなチームが2015年のワールドカップではいきなり、南アフリカを含めて3勝もできたのでしょうか?
エディは、「明確な目標を設定する」ことが大切だと言っています。
目標は、漠然としたものではなく、結果が出た時に達成できたのかどうかはっきりわかるものでないといけません。ということで、エディは最初に以下の目標を設定したそうです。
- 日本は世界のトップ 1 0に入る
- ワ ールドカップでも勝利する
この頃、日本代表はワールドカップ出場20年間で1勝しか挙げていません。その1勝も20年前のものなので20年間、勝ち知らずという状態でした。
目標を設定したら次はスケジュールです。
スケジュールは目標を達成するために設定するものです。
一般的にスケジュールを変えることは悪いことのように思われているのではないかと思います。
しかし状況は日々、変化しているのです。
状況が変わればスケジュールを変えるのは当然のことです。
ラグビーは野外でのスポーツなので、天候により試合の日程が変わることもよくあります。
試合の日程が変わったのにスケジュールを変更しないというのは、おかしいですよね?
スケジュール通りに行動することが目的ではないということを認識するというのがエディの考え方です。このため、目標は絶対に変えず、、スケジュ ールはできる限り臨機応変にというのがエディの考え方です。
ある時、オールブラックスとの対戦が発表されました。
エディは、オールブラックスの「ハカ」を選手たちに見せました。オールブラックスの「ハカ」にはオールブラックスのフィジカルが凝縮されています。オールブラックスの強さの秘密は、エディはフィジカルが9割だと言っています。
更に、日本のトライとオールブラックスのトライを収めたビデオも見せたそうです。そして、そのビデオの最後にエディは以下のようなコメントを付加しています。
- 日本のトライは 、オ ールブラックスのトライと比べて 、何ら遜色はない 。違いは 、オ ールブラックスは常にこのトライができるが 、日本はできないことだ 。
オールブラックスと日本の差はわずかだということを動画で教えたかったのですね。
課題が明確になれば 、人はそれを克服しようと 、努力します 。そこから可能性が広がっていくのです 。
日本が世界の舞台で勝つためには 、長所を活かし 、短所を補う必要がありました 。私はそのことに考えを集中させました 。
違う角度から見れば 、短所は長所にもなることが多いのではないでしょうか 。むしろ短所にこそ 、勝利や成功へのヒントが隠されているのだと思います 。
日本の短所を長所に変えたのがエディの功績ですね。
このような話が、以下の本には多数書かれていますので、自己啓発本としても読めるはずです。
【参照元】
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ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング (講談社+α文庫)
- 作者: エディー・ジョーンズ
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エディーは、日本人の強みを考えた上で、トレーニングに意味を持たせるようにしました。トレーニングは勝つために行っているということです。これにより日本人の強みである勤勉さが良い方向に開花しました。更に個々に責任感を持たせるために年功序列を断ち切りました。日本人の短所だと思ってい体格の小ささを長所に変えることも行いました。体格が小さいということは機敏に動くことができ、低い姿勢でのタックルも可能です。そして試合の後半になるとスタミナが切れていた日本を最後までスピードを保ち低いタックルで戦えるようにしたことで、南アフリカにも勝つことができたのです。
エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)が就任して3年半。科学的トレーニングを取り入れながらも、世界一の猛練習を選手に課してきたからである。合宿では朝5時から、1日に3回、4回も練習をしたこともある。
傍からみれば奇跡でも、選手たちは本気で「勝つ」と信じていた。その思いがロスタイムの逆転トライにつながった。「W杯史上最大のアップセット(番狂わせ)」「アンビリーバブル!(信じられない)」「ラグビー界最大のショック」。翌日の新聞の一面は、そんな驚きの見出しとジャパンの笑顔が躍った。
とりで24得点をマークした五郎丸歩(ヤマハ発動機)は「奇跡」という言葉に反発した。「ラグビーに奇跡や偶然はありません。必然です」と。
だって、と言葉を足す。「4年間の積み上げてきたものがありますから。長い年月、いろんなものを犠牲にしてきました。用意周到な準備、世界一のハードな練習……」。自身のトライとなったサインプレーも、南ア対策として1、2カ月前から、練りに練って、練習してきたものだった。
日本が目指してきた『アタッキング・ラグビー』を象徴するトライでもあった。五郎丸は「(南アに)走り勝てる自信があった」とも言った。これまで日本は強豪とのテストマッチではラスト20分でやられ続けてきた。それがこの日はラスト20分、いやロスタイムで勝ったのである。
環境も整備されていた。世界的な名指導者のジョーンズHCはスクラムコーチにダルマゾ氏を招いたほか、ディフェンスコーチ、ストレングス強化のコーチなど、各部署に世界的なコーチを配した。メンタルコーチまでつけ、重圧のかかる大舞台でも実力が発揮できるようにした。
さらにいえば、ベストチームを編成するため、ニュージーランド(NZ)出身のリーチ・マイケル主将ほか、トンガ出身のマフィ、NZ出身のヘスケスら10人(うち5人が日本国籍取得)の外国出身選手も集めた。サッカーなどとは違い、ラグビーは3年以上居住し、他国で代表歴がないなどの条件を満たせば外国籍でも代表選手の資格を得られる。これを批判する人もいるが、出場資格を遵守しているのだから、それはナンセンスである。
【引用元】
そんなエディから2016年9月にジェイミーにヘッドコーチが変わっています。
ヘッドコーチが変わるということは、頭脳が変わるようなものです。
二人のヘッドコーチの違いは何でしょうか?
大きく言うと、エディー(・ジョーンズ)ジャパンは相手によって戦術を使い分ける、ジェイミー(・ジョセフ)ジャパンは自分たちのスタイルを突きつける。キックの数とかラックの数とかのデータにも表れるけれど、戦い方という点で大きな違いはここにある。
キックは本数だけでなく考え方から違う。エディーの時は早め早め。自分たちが攻めて、勢いがあるうちに蹴る。ジェイミーはアタックが不利な状況になった時にコンテスト(競り合いになる)キックを蹴る。ハイパントやグラバーなどのキックを多用する。
4年前と比べて、選手も違う。個の力を持つ選手が圧倒的に増えた。姫野やファンデルバルトらFW3列に前に出られる選手がいるし、両CTBもキャリー(ボールを保持)で前進できる。突破力ある選手が増えたから、相手が前を警戒して後ろが空く。組織で勝つのがエディー、個でも戦えるのがジェイミー。確かにリスクはあるけれど、はまればすごいのが今のチームだ。
エディが指揮した2015年W杯の4試合とジェイミーが指揮した2018年全6試合の平均を比較したデータスタジアムによれば、顕著なのはキックの数。15年の1試合14・8本に対し、18年は2倍近い27・3本。モールやラックは15年が多い。
ラインブレークは18年は15年の倍。しかし、相手のラインブレークも18年が多い。コンテストキックなどで意図的に、整備されていないアンストラクチャーな状況を作るのがジョセフHCのラグビー。攻めても守ってもラインブレークの多い、オープンな試合展開となる。
【参照元】
以下は、2018年のニュージーランドとのテストマッチです。
どのように日本代表が変わったのかを見てください。
31対69で負けましたが、あのオールブラックスから31点も取っています。
点を取る方は完成に近づいているのかもしれませんが、取られない方がまだ未完成のような気がします。
9月の南アフリカ戦は、点を取られない方に気が取られてしまい結果的には点を取られ、点は取れなかったという最悪の結果でした。攻撃は最大の防御という言葉があるように、攻めることで点を取られないという方法もあるはずです。
今大会で日本ラグビーが開花することを期待しています。